<Header>
<Author: 白居易>
<Title: 新樂府 太行路	借夫婦以諷君臣之不終也>
<Format: 格式不明>
<Year: 1964>
<BookName: 漢詩大系  白樂天>
<Translator: 田中克己>
<style: 現代文無假名>
<style2: 日本現代譯文無假名標注>
<TranslatedTitle: 太行路>
<BookPage: 76-79>
<UsedPage: 4>
<Feature: 1, 4>
<End Header>
<Poem>
太行之路能摧車，
若比人心是坦途。
巫峽之水能覆舟，
若比人心是安流。
人心好惡苦不常，
好生毛羽惡生瘡。
與君結髮未五載，
豈期牛女爲參商。
古稱色衰相棄背，
當時美人猶怨悔。
何況如今鸞鏡中，
妾顏未改君心改。
爲君熏衣裳，
君聞蘭麝不馨香。
爲君盛容飾，
君看金翠無顏色。
行路難，
難重陳。
人生莫作婦人身，
百年苦樂由他人。
行路難，
難於山，
險於水。
不獨人間夫與妻，
近代君臣亦如此。
君不見左納言，
右納史，
朝承恩，
暮賜死。
行路難，
不在水，
不在山，
只在人情反覆間。
<End Poem>
<Translation>
太行山中の路は車輪がくだけるほどけわしいが 人間の心の危険なのにくらべると平坦な道である。巫峽の水は舟を顛覆させるほど危険だが 人間の心の危険なのにくらべると安らかな流れである。人間の心中の愛僧はひどく変化する。気にいるとあばたもえくぼだし、憎めばきずをほじくり出す。あなたにとついで五年にならないのに 仲よい牽牛織女の二星から、たちまち參星と商星のように合わなくなった。むかしからいうことに「顔が汚くなれば棄てられる」と そのころの美人がうらみ悔いたことである。しかし今では鏡を見ても わたしの顔はまだかわっていないのにあなたの心がかわったのだ。 あなたのために衣裳に香をたきこめた。その蘭麝のにおいをかいでもあなたはいいにおいと思ってくれない。あなたのために化粧や飾りをこらした。その金やひすいを見てもあなたは見られたものでないという。人生行路のむつかしいこと 二度とはいえないほどだ。人間は女に生まれてくるものではない。一生の苦楽は他人まかせだから。人生行路のむつかしいこと 山路よりも困難で 水上より危険だ。これは世間の夫婦だけのことでなく 近ごろの君臣の間がらもそうなのだ。 ご存じだろうが君主の左右にいる納言や內史などの役人が 朝は召し出されて夕方には死刑を申しわたされる。人生行路のむつかしいこと それは水上や山中のことでなく 人間の気持ちの変わりやすいところにあるのだ。
<End Translation>
<Formatted Translation>
太行山中の路は車輪がくだけるほどけわしいが 
人間の心の危険なのにくらべると平坦な道である。
巫峽の水は舟を顛覆させるほど危険だが
人間の心の危険なのにくらべると安らかな流れである。
人間の心中の愛僧はひどく変化する。
気にいるとあばたもえくぼだし、憎めばきずをほじくり出す。
あなたにとついで五年にならないのに 
仲よい牽牛織女の二星から、たちまち參星と商星のように合わなくなった。
むかしからいうことに「顔が汚くなれば棄てられる」と 
そのころの美人がうらみ悔いたことである。
しかし今では鏡を見ても 
わたしの顔はまだかわっていないのにあなたの心がかわったのだ。
あなたのために衣裳に香をたきこめた。
その蘭麝のにおいをかいでもあなたはいいにおいと思ってくれない。
あなたのために化粧や飾りをこらした。
その金やひすいを見てもあなたは見られたものでないという。
人生行路のむつかしいこと 
二度とはいえないほどだ。
人間は女に生まれてくるものではない。
一生の苦楽は他人まかせだから。
人生行路のむつかしいこと 
山路よりも困難で 
水上より危険だ。
これは世間の夫婦だけのことでなく 
近ごろの君臣の間がらもそうなのだ。
ご存じだろうが君主の左右にいる納言や內史などの役人が 
朝は召し出されて夕方には死刑を申しわたされる。
人生行路のむつかしいこと 
それは水上や山中のことでなく 
人間の気持ちの変わりやすいところにあるのだ。
<End Formatted Translation>